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へんろ道に咲く花1輪・・・そんな花になりたい・・・
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一.    はじめに
私達人間は、人と人との係わり合いを無くして生きてはいけない。このことは空海の時代もそれから千有余年を経た現代も変わりはない。ただ現代社会は、科学技術の発達により、物質的には格段に便利で豊かになってきている反面、人間関係は荒んでいく一方である。このような時代を反映して、行き過ぎた個人主義の考え方への警鐘として、宗教への期待が大きくクローズアップされているのも現代社会の特徴である。すなわち失われた人間の本来性の回帰を求めるが上で、宗教は重要な役割を担っており、この人間の本来性に関してはるか昔、空海はその著述においてそれを明らかにしている。
そこで本小論文では、空海の撰述著である『即身成仏義』(以下『即身義』)中の二頌八句の詩を取り上げて考察し、本設題に迫りたい。
二.    ニ頌八句の詩
 『即身義』は、空海が弘仁八年から弘仁十年の間に書いたとされ、空海の密教思想の研究上、その根幹をなすと考えられる重要な著作である。すなわち空海は本著作において、以下のような二頌八句の詩を挙げて、この詩の意味を解説する形で、密教の根本教義たる「即身成仏」の思想を詳らかにしようとした。
 
六大無礙にして常に瑜伽なり
四種曼荼各々離れず
三密加持すれば速疾に顕る
重々帝網なるを即身と名づく

法然に薩般若を具足して
心数心王刹塵に過ぎたり
各々五智無際智を具す
円鏡力の故に実覚智なり
 
空海は、初めの四句において「即身」の二字を、次の四句において「成仏」の二字を説明し、「即身成仏」の四字そのものの意味には直接触れていない。これは「即身」、つまり存在の意味を理解することそのものが、「成仏」の語義理解へと導くことを示している。
よって空海はここで、あらゆる存在は、①体、すなわち存在そのもの、②相、すなわち存在の姿や形、③用、すなわち存在の持つ働きや作用、という三つの側面から成り立つという、密教の世界観の基本を述べているである。
そこで、事項では、特に最初の二行の句に着目し、以下考察を進めたい。
三.空海による存在の概念に見る人間の本来性
 先ず空海は最初の一行で、存在を構成する六つの要素、すなわち、地・水・火・空・風という五大と、それらを認識する識という要素は、「無礙にして常に瑜伽なり」、つまりばらばらに存在するのではなくお互い溶け合って混じり合って存在している、とした。これはつまり、物質と精神は個々別々に存在するのではなく、互いに入り混じって一体となって存在することを示している。
 次の一行では、先に述べた存在を存在たらしめる相について空海は述べている。それは、「四種曼荼各々離れず」、すなわち、存在の現われ方を説明するところの四つの曼荼羅は、表現方法こそ異なるものの、それぞれ離れることはない、とする。すなわち、様々な様相を見せる存在の実相も、帰するところ一であり、決して無関係に存在しているのではない、ということである。
 この説明を人間に当てはめると、人間その一人一人は、単独で存在しているのではなく、互いに入り混じって存在し、且つ決して離れることのない関係で結ばれて存在しているのである。
四.まとめ
 以上見てきたように、空海によって、全ての存在は現われ方こそ違え、根本は一つであり、不離の関係で結ばれていることが明かされた。そうしてこの考え方は、三位一体のキリスト教や慈しみ・憐れみのイスラム教の概念とも相通ずる点を持つ。すなわち、異宗教といえども、その表現法が異なるだけで帰するところは一なのである。よって宗教の力により、現在の個人主義思想に代わる考え方として、「存在=関係」の考え方の浸透が大いに望まれる。
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