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へんろ道に咲く花1輪・・・そんな花になりたい・・・
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インドの諸宗教文化に見られる密教の諸要因について
―密教の教えと梵我一如思想ー
1.はじめに
 弘法大師空海は、その書物『即身成仏義』において、「六大無礙にして常に瑜伽なり 四種曼荼各々離れず 三密加持すれば速疾に顕る」で始まる二頌八句の詩を挙げて、その思想の大きな特徴である即身成仏について語られた。すなわち、「仏と人との間でなされる3つの働きを加持することにより、宇宙の根源仏である大日如来と一体になり、成仏を可能にする。」と述べられたのである。
 そこで本レポートでは特に、「大日如来と一体になる」というところに着目し、掲題のごとくテーマを設定し、以下説題に答えたい。
2.密教とは
 そもそも弘法大師空海が唐より持ち帰られた密教とはどのような教えなのであろうか。
先ず、単に密教と言っても、「広義の密教」と、ここで考察しなければならない「仏教内の密教」に分けねばならない。
先ず「広義の密教」であるが、一般大衆から秘密にされており、代々限られたものだけにその奥義が受け継がれてきた宗教全般を指し、神秘的な宗教や宗派の全てはこれにあてはまる。つまり、洋の東西を問わず密教なる宗教が存在し、呪術や魔術から錬金術に至るまでが、総合的にこれに含まれる。
そしてもう一つは、大乗仏教の流れを汲む秘教である「仏教内の密教」であり、日本では、弘法大師空海を祖とする真言密教と、最澄を祖としその後弟子によって完成された天台密教がそれにあたる。その他にも雑密と呼ばれる初期の密教もあるが、多くの場合、真言密教を指している場合が多い。 
それではここで考察されるべき密教とはどういう性格をも持つのか。それは、一言でまとめると、1.神や仏などの聖なるものと、2.我々人間が、我々の内面、或いは全体において一体になるという考え方である。すなわち聖なるものと人間との神秘的な合体を実践しようとするのが密教の柱となのである。
また密教は文字通り秘密の仏教である。その秘密は、弘法大師空海が、『弁顕密ニ教論』で説かれた通り、「秘密には二義あり」すなわち、1.大日如来の持つ秘密である如来秘密と、2.衆生の持つ秘密である衆生秘密のニつに分けられる。
如来秘密とは、大日如来という仏だけが熟知していて、人間にはおいそれとわからない秘密である。というのは、大日如来は内なる悟りを秘めて、その境地を容易に詳らかにしない。だからその境地は容易に覗うことが出来ないからである。
これに対し衆生秘密とは、人間は誰でも仏性を持っているが、その本性を自分の無知や煩悩で覆い隠しわからなくし、本来秘密ではない仏性を自分で秘密にしているから秘密となる。
さて先述のように密教は、仏教の中のから発展を遂げた、一つの仏教の流れである。しかしながらその歴史的背景を辿ると、密教思想の源流はインド文明の夜明け以前の、人々のいのちの営みにまで遡り、今もそこへつながる。そこで次項では、密教と切り離すことのできないインドの諸宗教文化の中から特に梵我一如の思想にスポットを当てて、密教とのつながりを考察したい。
3.梵我一如思想とは
密教は原始仏教から時代を下って大乗仏教から派生した教えではあるが、先述のようにその源流は、仏教発祥よりも古く、その考え方自体は、紀元前十二から十三世紀にまでさかのぼり、バラモン教と切り放すことの出来ないインド神話中にその萌芽を読み取ることができる。この「インド神話前期」ともいうべきこのバラモン教の隆盛期に誕生した、密教の根元たる概念が梵我一如思想であった。
この梵(ブラフマン)とは大宇宙を支配する原理のことで、一方の我(アートマン)とは個体を支配する原理をさす。よって梵我一如とは、「梵、すなわち宇宙と、我、すなわち人間は一つの如し」という意味である。つまり梵我一如思想とは、簡単に言うと、「宇宙と人間の本質は一つである」という考え方なのである。
この思想の根本理念をまとめると次のようになる。「たった一つの真理があり、それ以外のこの世で見る諸々の現象はマーヤ―(幻影、幻覚)である、とするものである。人が真実の己れを悟れないのは無知であり、真の英知を有していないからである。離れて見える自己と絶対者ではあるが、両者の間に何らの区別はなく、両者は実は一体なのである。ただ無知によって両者は二元的に離れたように見える。」
4.まとめ
以上、弘法大師空海の即身成仏の考え方を端緒として、密教の考え方、そしてその根源である古代インドの梵我一如思想を概観した結果、新しい仏教である密教の教えは、古代インドの梵我一如思想がその一要因として深く関わっており、それを背景に密教が成り立つことが確認できた。よって密教を研究するにあたっては、そのプロローグとしてインドの宗教文化の学習は不可欠であろう。


K・C・チャクラヴァルティ著、橋本芳契・橋本契訳、『古代インドの文化と文明』、東方出版、1982年、251、252頁。
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