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へんろ道に咲く花1輪・・・そんな花になりたい・・・
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弘法大師空海の思想と実践に見られる独自の視点について
―『即身成仏義』の二頌八句の偈にみる「即身成仏」思想―
1.はじめに
 久米寺において『大日経』と出会い入唐求法の念を抱いた弘法大師空海は、様々な難儀な障壁を克復して唐に渡った。そこで弘法大師空海は、インドから中国へと伝わった密教の正統なニつの流れ、すなわち大日経系と金剛頂経系の両方を継承していた恵果和尚より短期間で両方の密教を授かった後、密教の正統な後継者となり、その後真言密教として一つの思想体系にまとめ上げた。本レポートでは数々の著作中から『即身成仏義』をとりあげて、弘法大師空海の思想と実践について考察することにより設題に答えたい。というのも、中期以降の密教にとってその最大の課題は、いまこの世で生きているうちに悟りをひらくこと、すなわち「即身成仏」であった。その意味で弘法大師空海の書かれた『即身成仏義』は、密教の根本教義と考える「即身成仏」の思想を明らかにされており、非常に重要な著作だからである。
2.二頌八句の偈
  弘法大師空海は「即身成仏」の思想を明らかにするために次のような二頌八句の偈を挙げて、その意味を解説される形をとられた。
六大無礙にして常に瑜伽なり
 四種曼荼各々離れず
 三密加持すれば速疾に顕る
 重々帝網なるを即身と名づく

 法然に薩般若を具足して
 心数心王刹塵に過ぎたり
 各々五智無際智を具す
 円鏡力の故に実覚智なり
弘法大師空海によると、初めの四句は「即身」の二字を、次の四句は「成仏」の二字を嘆じたとされる。そして「即身成仏」そのものの意味は明らかにされず、その後の説明も「即身」方に多くの説明が割かれた。これは、「即身」の意味を理解することこそが「成仏」へつながること意味している可能性が高い[i]
そこで次項以下では「即身」の意味を解き明かしつつ、弘法大師空海の即身成仏の思想を考察してみたい。
3.六大の概念から読み取る「即身」の意味
 弘法大師空海は、「即身」を明らかにする為に、「六大とは五大及び識となり」と説明され、宇宙の体大は六つの本性から成り立つという六大説を創案された。ここで六大とは、物質面の本性である、地・水・日・風・空の五大と、固体や液体を認める力たる識大(精神面)が互いにさまたげあうことなく、互いに入り混じって一体となったあり方だとされる。よって六大を本性とする万物は、同等、同性のものなのであり、全ての存在者がこの六大を本体としてこの世に現れているのである。すなわち、即とは、相応渉入、五大と識大がさまたげあうことなく、互いに結びつき溶け合っている在り方を意味し、身はまさに六大そのものである。
4.即の第二の意味
 真言密教では、宇宙の現象論的説明を四種の曼荼羅の働きによって「四曼相大」と示す。これについて弘法大師空海は、宇宙の現象の根源的なものを示せば、四種の曼荼羅の現われ方、現し方に尽き、それらが表現の根本的なものであるが、どの相も現われ方、現し方が違うだけであり、帰するところは1つとされる。
つまり四種の曼荼羅は、それぞれの現象が真実をあらわし、それぞれ離れることはないとされた。すなわち、即は「不離」をも意味しているのである。
5.すみやかに現われる「悟り」の世界
三行目の句において弘法大師空海は、仏と人間の間でなされる三つの働きを互いに加持(ちからぞえ)することによって、大日如来と一体になり、成仏を可能にする、と述べられた。ここに、即の第三の意味を確認できる。すなわち、即とは修行者の持つこの身そのままなのである。そうして弘法大師空海は、自らの行い(有相)や心のありようも三密であれば、その相(姿)は顕かに仏である、と述べられた。人の行いは、自己本位であるため三業であるが、1.手に大日如来のように印契を結び(印を結ぶ)、2.口に真言を唱え、3.心に本尊を念じると、三業が三密になり、入我我入、すなわち煩悩多い身でありながら即座に仏になる(仏が自分に入り自分が仏に入る。)。まさに即身成仏=生きたまま仏になり、こうなると仏の力が加わり、仏の力を持つから三密加持なのである。
6.まとめ
 四句目において弘法大師空海は、あらゆる存在が恰も帝釈天の網の玉の如く互いとけあうあり方を即身という、と述べられた。わが身は仏身であり、仏身はわが身、衆生と仏は互いにうつしあう世界。これこそが密教で言う悟りの境地ではなかろうか。
 このように弘法大師空海は、従前の大乗仏教(顕教)においては、人間が成仏するには三劫というとてつもない時間を要するとするのに対し、密教ではすぐに成仏できるという独自の思想を述べられたにとどまらず、その宣布の過程において宮中で即身成仏を実践され、このことが真言密教布教の拡大の大きな要因となった。またこの思想によってインドから中国を経て日本に伝えられた中期密教は、ここにその完成をみたことになるといえよう。


[i] 村上保壽著、「密教思想と現代―弘法大師の思想を中心にー
」、高野山大学通信教育室、2004年、5頁。
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